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 数学と腸

 

現在、小腸〜大腸全部に内視鏡を挿入するのは「可能」なのですが技術的に大変、困難な問題が多々あります(ダブルバルーン内視鏡:上写真左)。 カプセル内視鏡(上、右写真)というデバイスもありますが、これは「ランダムにコマ撮り」するだけで「全粘膜の精査」ではありません。またポリープ切除などはできません。内視鏡学会も「カプセルは簡易的1次スクリーニング。精密検査はダブルバルーン内視鏡の挿入」という立場です。

ダブルバルーン内視鏡は小腸全体の精査・内視鏡手術を可能とした「画期的技術」ですが、健診目的に気軽に受けられるような安易な検査ではありません。小腸内視鏡は「数学の難問」のように今も、内視鏡専門医の挑戦を待っています。


映画「ビューティフル・マインド 」は実話を元にしています。ノーベル賞受賞者の天才数学者・ジョン・ナッシュは 国防省でソ連の暗号を解読し、ゲーム理論でウオール街に巨万の富をもたらします。彼は「数学最大の難問:リーマン予想(素数の級数化)」に挑戦しますが・・・・・遂には統合失調症になります。

「速く走る空間内では時間が遅れる(特殊相対性理論)」は一部の高校では物理で教材にしており、一般人も何とか理解・証明できますが・・・最新の数学・物理学は我々の理解を超えています。

重力とは空間の歪みである(一般相対性理論)

宇宙の始まりは虚数時間だった(ホーキング)

宇宙は5次元空間である(ランドール)

・・・・・・・まるで「妄想」です


最近のNatureに掲載された論文も・・・・・我々医師の理解を超えています。

我々の体内で小腸や大腸は「決まったパターンでループを作り」折りたたまれています。このメカニズムをコンピューターを使い、物理的・数学的に解明した・・・・と言うのです。

要旨は「消化管の発生を円柱の伸長という現象で数式化し、背中と腹壁が反作用の力を与えると、腸管のループ形成が数式で求められる」ということらしいですが・・・私には難解で理解できません。

これがどのように医学に応用されるのか?これが医学なのか?多くの人がそう思うと思います。

私見ですが・・・・・

この研究は数十年後に内視鏡に大きな革命を起こすかもしれません

数十年後・・・・・この研究で解明されたアルゴリズムで小腸〜大腸全部に内視鏡を安全・容易に挿入する「内視鏡の達人・コンピューター」が出現するかもしれません・・・・・

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昔、鋭い患者さんから「どうして曲った腸に真っ直ぐな内視鏡を痛みなく挿入できるのか?物理的にありえない」と質問されたことがあります。答えは、内視鏡の先に「硬性部」と「柔らかい屈曲部」があり、これを利用して「力Aが最少で、力Bが最大」になるように我々専門医は「無意識の計算」をおこなっているからです。力Aが「痛みの原因」であり力Bが内視鏡を推進させます。この「無意識の計算」能力が「大腸内視鏡の技」の訳なのですが・・・・・スーパーコンピューターにとっては「瞬時にできる計算」でしょう。アルゴリズムさえ完成すれば・・・・

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これは私の空想ではありません。内視鏡メーカー(オリンパス)は随分前からこのような内視鏡の開発を試みています。ただ肝心のアルゴリズムが不十分で現時点では極めて原始的な試作品だけなのですが・・・・・・

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